法律および法規制の遵守

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「戦略的およびビジネスのマネジメント」より、「法律および法規制の遵守」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーは、プロジェクトマネージャーが最低限持つべきものとされている一方で、法律等による明確な線引きのない領域におけるビジネス成果等につながります。

法律および法規制の遵守

定義

プロジェクト・マネージャーが守るべき法律および法規制とは、国際的なルールや諸法律、業界やプロジェクトに関係するものなど多岐に渡ります。

PMIの倫理・職務規定では、下記の通りプロジェクトマネージャーは法律および法規制を順守すると宣言しています。

私たちは、担当する業務、職業、ボランティア活動に適用される方針、規則、規制および法規について、それを順守します。

概要

法律を含めた遵守すべきルールへの専門知識はますます重要になっています。しかしプロジェクトマネージャーがすべて網羅することは非常に難しいため、ビジネス感覚に優れたSME(Subject Matter Expert:当該分野の専門家)を活用することも重要です。彼らからは、プロジェクト活動において、法を有効に活用するためのアドバイスを得ることも可能でしょう。

説明

特にプロジェクトマネージャーと関係の深い法規制に下記のものがあります。代表的な法規制とポイントをまとめます。

  • 契約関係の法規・・・下請法、不正競争防止法、民法など

多くのプロジェクトでは業務委託契約を結んだ上で複数の外部業者と共にプロジェクトを進行します。その際に結ぶ契約の内容が「請負契約」か「準委任契約」かで成果物に対する責任や支払い等の条件が異なります。これらを明確に定義した契約書を事前に作成して取り交わさなくてはなりません。

  • 知的財産権関連の法規・・・著作権法、特許法など

特にソフトウェア開発プロジェクトにおいて、トラブルや訴訟に発展しやすい分野です。例えば著作権法上は、受託会社の従業員が開発したプログラム は、例え支払いがなくとも受託会社に帰属することになっているため、委託側に不都合な状況が発生する可能性があります。こういった事態を防ぐため、著作権の移転に関する条文を盛り込むことがほとんどです。

  • 労務関係の法規・・・労働基準法、労働安全衛生法など

近年「働き方改革」のスローガンのもと、労働時間の管理について見直される機会が増えています。プロジェクト活動、とりわけ開発作業は長時間労働になりやすいため、プロジェクトマネージャーは労働基準法を理解し、遵守する必要があります。

上記のほか、改正個人情報保護法、サイバーセキュリティ基本法、GDPRなど、近年のセキュリティ上の法規制についても重要な点は押さえる必要があります。

やってみよう

法律をすべて理解する必要はありません。上記説明に書かれた分野の基礎知識を習得した後に、プロジェクトごとに必要な法規制について個別に対処すれば十分でしょう。

出典

一般社団法人 PMI日本支部、2018、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社

一般社団法人 PMI日本支部、「倫理・職務規定」、https://www.pmi.org/-/media/pmi/documents/public/pdf/ethics/pmi-code-of-ethics.pdf?v=84d99a84-a6ac-49cb-9c5a-e2266f704ca9&sc_lang_temp=ja-JP(最終アクセス2019年12月27日)

モノリス法律事務所、「プログラムのソースコードは著作権上誰のものか」、https://monolith-law.jp/corporate/copyright-for-the-program-source-code(最終アクセス2019年12月27日)


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