要求マネジメントとトレーサビリティ

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「テクニカル・プロジェクトマネジメント」より、「要求マネジメントとトレーサビリティ」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーを習得すると、要求事項を適切にマネジメントし要求を追跡することで、顧客が意図した事業価値を提供することができます。

要求マネジメントとトレーサビリティ

定義

BABOKガイドの用語集にある「要求(requirement)」の説明は以下の通りです。

  • 問題を解決するか、または目標を達成するためにステークホルダが必要とする条件または能力
  • 契約、標準、仕様、その他の正式に課せられた文章を満たすためにソリューションまたはソリューションの構成要素が保持し、適合しなければならない条件または能力
  • 上記の条件または能力を文書で表現したもの

また、PMBOKの第6版では「ビジネスニーズを満たすために、プロダクト、サービス、所産が備えるべき条件や能力」と捉えられています。

概要

ビジネスの成功のためには、ステークホルダーのニーズや要求事項を収集し、特定し、文書化するとともに、要求の発生元から要求を満たす成果物やサービスまでの要求事項を追跡できることが必要です。残念なことに日本では収集した要求事項が不正確であるためにプロジェクトが顧客の期待した事業価値を提供できず、トラブルになるケースもあり、要求マネジメントの重要性が増して来ています。

説明

プロジェクト成功のためには、開発初期の段階で要求事項を収集、ビジネスニーズを定義し、そこから要求を固めることが重要となります。こうして決めた要求をベースラインとして、それを満たすための成果物やサービスを構築していきます。ベースラインを設定することにより、顧客の要求の変化や追加についても対応しやすくなりますし、要求と成果物のトレーサビリティがとれている場合、要求の変化による成果物やサービスへのインパクトが把握しやすくなります。

やってみよう

まずは、顧客の要求は何で、今回のプロジェクトでは顧客の要求をどんな形で実現しようとしているか、について文書化し、顧客と合意する(ベースラインを設定する)ところから始めましょう。

さらに、どの要求がどの成果物につながっているかの、要求事項トレーサビリティマトリックスを作成し、顧客と共有しておけば、どの要求がどの段階で合意されたかが明確になり、成果物についての、要求事項の抜け・漏れを防ぐとともに、要求が変化した場合の作業インパクトについて把握することができるでしょう。

出典

一般社団法人 PMI日本支部、2018、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社

一般社団法人 情報サービス産業協会 小山透、2017、「要求工学知識体系」近代科学社

IIBA日本支部 代表理事 福嶋義弘、「BABOK概要と最新動向~BAが日本を変える~」、https://www.ipa.go.jp/files/000004766.pdf、(最終アクセス日2019/11/28)

一般社団法人 PMI日本支部、2018、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネージャーの実践スキル」、評言社

IIBA、「Babok: A Guide to the Business Analysis Body of Knowledge」、2015、IIBA

Project Management Institute、2017年、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第6版」、Project Management Institute

一般社団法人 情報サービス産業協会 小山透、2017、「要求工学知識体系」近代科学社

IIBA日本支部 代表理事 福嶋義弘、「BABOK概要と最新動向~BAが日本を変える~」、https://www.ipa.go.jp/files/000004766.pdf、(最終アクセス日2019/11/28)


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