EQ(Emotional Intelligence Quotient;心の知能指数)

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「リーダーシップ」より、「EQ(Emotional Intelligence Quotient;心の知能指数)」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーを高めると、困難な問題に対しても、ポジティブに自信を持って対処できるようになります。またプロジェクトのステークホルダーはあなたを信頼し、様々な場面において快く、積極的に協力してくれるようになります。

EQ(Emotional Intelligence Quotient;心の知能指数)

定義

ダニエル・ゴールマンはその著書「EQこころの知能指数」冒頭において、EQはIQとは質の異なる頭の良さであり、その頭の良さとは下記の能力が高いことであると述べています。

  • 自分の本当の気持ちを自覚し尊重して、心から納得できる決断を下す能力(自己認識力)
  • 衝動を自制し、不安や怒りのようなストレスのもとになる感情を制御する能力(感情のコントロール)
  • 目標の追求に挫折したときでも楽観を捨てず、自分自身を励ます能力(プラス思考)
  • 他人の気持ちを感じとる共感能力(共感力)
  • 集団の中で調和を保ち、協力しあう社会的能力(協調性)

概要

プロジェクト・マネージャーが自身やメンバーのEQについて理解し、その特性を活かしたマネジメントを行うことは、プロジェクトで安定的な成果を生み出すことにつながります。

説明

プロジェクトマネージャーとしてはEQの中でも特に下記3つの能力を獲得する必要があります。

  • 自己認識力

自己認識力には2種類あると言われています。1つ目は「内面的自己認識力」です。これは、自分の価値観、情熱、願望、環境への適合、反応(思考、感情、態度、強み、弱みなど)、他者への影響力について、明確にとらえる能力です。

2つ目は、「外面的自己認識力」です。先に挙げた諸要素について、他者が自分をどのように見ているかを正しく理解する能力です。

  • 感情のコントロール

プロジェクトマネージャーが感情に振り回され行動するとプロジェクト全体に悪影響を及ぼします。下記のようなステップを踏むことで感情をコントロールし、常に適切なコミュニケーションをとることが重要です。

  1. 感情(気持ち)の識別 自分自身の感情と相手の感情を識別する
  2. 感情(気持ち)の利用 問題、課題を解決するために感情を利用する
  3. 感情(気持ち)の理解 生起している感情の原因を理解し、どのように表すのがいいか理解する
  4. 感情(気持ち)の調整 望ましい決定をするため感情を活用し行動する
  • 共感力

相手の気持ちに寄り添い、共感することはステークホルダーと良好な関係を築く上で大事なポイントです。ただ聞くだけではなく、具体的な反応を示すことによって共感のサインを表すことが重要です。

やってみよう

自己認識力を確認するために、自分の長所や短所を自分で挙げてみましょう。またあなたの長所や短所について、プロジェクトメンバーや同僚に聞いてみましょう。そのギャップが大きいほど自己認識力のレベルアップが必要だと考えられます。

ギャップが大きくても心配不要です。自己認識力をはじめ多くのEQは、経験と振り返りによって伸ばすことができます。日々のプロジェクト活動の中で意識して、伸ばすことを心がけましょう。

出典

ゴールマン、ダニエル、1996、「EQこころの知能指数」(土屋京子訳)、講談社

一般社団法人 PMI日本支部、2018年、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社

高山直、2016、「EQ「感じる力」の磨き方: 自分を変え、人生の質を高める」、東洋経済新報社

ターシャ・ユーリック(DIAMOND,Inc.)、2018、リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点、https://www.dhbr.net/articles/-/5215、(最終アクセス2019年12月27日)


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