BRM(Benefit Realization Management)

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「戦略的およびビジネスのマネジメント」より、「BRM(Benefit Realization Management)」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーを習得することにより、プロジェクト活動の成果が、顧客のビジネスに良い影響を及ぼします。 継続して実施することによって、顧客と永続的な信頼関係を築くことができます。

BRM(Benefit Realization Management)

定義

米国PMIによると、プロジェクトにおけるBRM(Benefit Realization Management,以下BRM)とは、様々なステークホルダーに対して、プロジェクトがビジネスにおいて

  • どんな価値を提供するか
  • どう実行するか
  • どう維持するか

を定めた枠組みです。

概要 

プロジェクトは「定められた期間、品質、コスト」を達成すれば成功といわれています。しかし意思決定の迅速化を背景に、個々のプロジェクト活動でも顧客の経営戦略などを理解した上で実行するよう求められるケースが増えています。あなたのプロジェクトでも、「売り上げがどの程度増加したのか」「業界内でのシェアがどう変化したのか」等ビジネス上のインパクトを含めた成果を求められる可能性があります。

説明

BRMの枠組みの内容は下記の通りです。

  • どんな価値を提供するか

ビジネス上の価値、例えば中期経営計画等の成果指標やプロセスをベースに、プロジェクトをどう分割して、それぞれ何を成果物として残すか、さらに各成果物による価値は何かを、ブレイクダウンして定義します。

また、各成果物の価値の測定方法を決定します。例えば売上や労働時間などの数値は、測定時の条件やタイミングによって大きく左右されます。時には専門家を交えながら、具体的な測定方法を決定する必要があります。

  • どう実行するか

プロジェクトの役割分担や、成果物を生み出すプロセスを決定して実行します。ここではRACIチャートやWBSなど、通常のプロジェクトマネジメントでよく利用されるスキルが活用できます。

ただしBRMでは、ビジネス上の価値への意識と行動が常に求められます。例えば期待利益と実現可能な利益のギャップを定期的に確認する機会を設けたり、プロジェクトメンバーに対してプロジェクトの価値を説明する機会を設けるなどの取り組みも、時には必要です。

  • どう維持するか

プロジェクトで実現したビジネス上の価値が、継続して実現されていることを確認します。実際に確認する時は既にプロジェクトが解散しており、営業や経営などの業務部門が主体となって進められることが多いでしょう。プロジェクトマネージャーは、彼らが継続して測定できる仕組みを整えることが求められます。

やってみよう

まずは、プロジェクトの立ち上げ時に、そのシステムを希望する理由(Why)を顧客に確認しましょう。どのようなビジネス上の課題がもとであなたに相談しているのか、背景を確認しましょう。ほかにも顧客のビジネスを理解する手段として、顧客の会社ホームページは有効です。最新ニュースや会社の理念、IR情報などヒントになる情報がたくさんあります。一度は覗いてみましょう。

出典

一般社団法人 PMI日本支部、2018年、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社

PMI、2016、Benefits Realization Management Framework、https://www.pmi.org/-/media/pmi/documents/public/pdf/learning/thought-leadership/benefits-realization-management-framework.pdf、(最終アクセス2019年12月27日)


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