業界固有の知識、標準体系

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「戦略的およびビジネスのマネジメント」より、「業界固有の知識、標準体系」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーを習得すると、顧客の要求を深く理解することができるため、業務仕様に関わる顧客との調整や折衝をスムーズに行い、プロジェクトを円滑に進めることができます。

業界固有の知識、標準体系

定義

業界固有の知識は、プロジェクトの成果が利用される環境に関する知識(運用に関する知識)と、プロジェクトの成果を創り出すための知識(プロセスに関する知識)に分けることができます。また、標準体系とはプロセスに関する知識を整理し、体系立てたものです。

概要

業界固有の知識のうち、運用に関する知識を把握していると、顧客の要求への理解が深まり、調整や折衝、あるいは提案もスムーズにできるようになります。

また、プロセスに関する知識を把握していると、プロジェクトの計画段階で、その業界に必要な開発プロセスを漏れることなくスケジュールに組み込むことができ、抜けや漏れがなく、プロジェクトを円滑に進めることができます。

説明

運用に関する知識としては、例えば金融業界における投資サービスの運用手順や、物流業界における荷物の集配手順など、その業界に固有なプロダクトの使われ方、サービスの手順があります。プロジェクトマネージャーが、そうした知識を把握していると、顧客が欲しいプロダクトやサービスがどのようなもので、どんな使われ方をするかが理解でき、顧客との意思疎通も十分にできます。さらに、それらを踏まえた上でプロダクトやサービスの提案を行うことによって、顧客満足度も向上します。

また、プロセスに関する知識としては、例えば製造業における品質保証の仕組み(Quality Management System)や、医薬品業界におけるスクリーニングの仕組みなどがあります。こうした仕組みはその業界の標準体系としてまとめられていることも多く、こうした標準体系に準拠していないと、成果物を受け入れてもらえず、最悪の場合プロジェクトが失敗に終わる可能性もありますので、事前に十分な調査をしておくことをお勧めします。

やってみよう

あなたのプロジェクトが対象としている業界が、あなたの組織で既知の場合、同じ業界でプロジェクトを遂行させたプロジェクトマネージャーを探し出し、対象の業界固有の知識について、どこがポイントか、何に気を付けるべきか、じっくり聞きだすのがよいでしょう。

また、対象としている業界が組織で全くの新規の場合、新聞やインターネットなどの媒体を通して情報を収集してみましょう。可能であれば、その業界の商慣行や注意点などを顧客や関係者に直接聞くのもよいでしょう。

出典

一般社団法人 PMI日本支部、2018年、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社

Harvard Business Review、2017年、「優れたリーダーにはなぜ、「分野固有の専門知識」が必要なのか」https://www.dhbr.net/articles/-/5155、(最終アクセス2019年12月16日)

日経XTECH、2006年、「他社でも通じるスキルの習得のコツ(5)」、https://tech.nikkeibp.co.jp/it/article/COLUMN/20060803/245055/、(最終アクセス2019年12月16日)

産業技術研究所、「業界団体でのルール・ガイドライン・認証を策定するにあたって」、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/shiearingu1/dai1/siryou1_8.pdf、(最終アクセス2019年12月16日)


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