スコープ・マネジメント

プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「テクニカル・プロジェクトマネジメント」より、「スコープ・マネジメント」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。

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ベネフィット

このコンピテンシーを習得すると、プロジェクトに関わるステークホルダーのニーズを満たし、顧客満足度を高めることができます。

スコープ・マネジメント

定義

スコープとは「範囲」のことです。PMBOK第6版では下記2つのスコープを定義しています。

  • プロダクト・スコープ
  • プロジェクト・スコープ

プロダクト・スコープとは成果物スコープとも呼ばれ、システムやサービス、文書などの具体的な「モノ」です。

プロジェクト・スコープとは作業スコープとも呼ばれ、「モノ」を生み出すための具体的な「作業」です。

スコープ・マネジメントとは必要な「モノ」を定義し、それを生み出すためにどんな「作業」が必要かを決定すること、またそれらに対する変更要求をコントロールすることです。

概要

スコープ・マネジメントで常に必要なのはプロジェクトの制約事項と要求のバランスです。ステークホルダーの要求をすべて実現しようとすると、プロジェクトのスケジュールやコストに支障が出る可能性があります。プロジェクトマネージャーは「何をするのか」、を決めると同時に「何をしないのか」を決める必要があります。

また、顧客が自身の要求を正確に表現できていないケースがあります。プロジェクトマネージャーは顧客の関係部門や専門家を用いながら、本当に必要なことを見極め具体化する必要があります。

説明

PMBOK第6版では、下記6つをプロセスとして挙げています。日本のいわゆる「要件定義」における実施事項と共通する点が多くあります。

  • スコープ・マネジメント計画

プロジェクトおよびプロダクト・スコープがどのように定義され、妥当性が確認され、コントロール可能かを文書化するプロセスです。

  • 要求事項の収集

目標を達成するために、ステークホルダーの要求を整理し、文書化するプロセスです。ヒアリングをしたり、その結果を文書にまとめたりします。

  • スコープの定義

収集した要求からプロジェクトのスコープを確定する作業です。その成果物は要件定義書等の文書にまとめられます。

  • WBS(Work Breakdown Structure)の作成

確定したスコープをより細かく、マネジメントしやすい粒度に分解するプロセスです。実務ではそこに時間の概念を加えて、ガントチャート等のスケジュール表で表すことが多いです。

  • スコープのコントロール

「スコープの定義」で確定したスコープが維持されているか監視し、変更の要求をマネジメントするプロセスです。このプロセスはプロジェクトの終了まで続きます。

やってみよう

ステークホルダーからの要求をスコープとして抽出する過程で、要求が膨らみ進捗が遅れることがあります。これを防ぐためにスコープ・マネジメント計画の段階で、納期、スケジュールやビジネスの遵守度、といった要求の判断基準をステークホルダーとあらかじめ合意しておきましょう。この判断基準は、変更の要求に対する判断基準としても役に立つでしょう。

出典

Project Management Institute,2017,「5.プロジェクト・スコープ・マネジメント」,「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOK®ガイド」,Project Management Institute,129-170。


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