コンフリクト・マネジメント
プロジェクトマネジメントにおけるタレント・トライアングル「リーダーシップ」より、「コンフリクト・マネジメント」への理解を深めプロジェクト・マネジャーに必要とされるコンピテンシーを身に着けよう。
ベネフィット
コンフリクト・マネジメントによってステークホルダー間の良好な関係を築き、プロジェクトの支障となっている本質的な問題へ協調的に取り組むことができます。
定義
コンフリクトとは、お互いの意見や要求の相違などが表面化し、それらの問題を解消できないために、緊張状態が発生することです。コンフリクトを避けることでチーム内や組織内でさらに大きな問題を引き起こすことがあり、全体のモラルやモチベーションの低下を招いたり、ひいては組織力の低下へとつながっていきます。
コンフリクトは日常生活の一部であって避けては通れません。むしろ、コンフリクトがあることを前提に、コンフリクトの否定的な側面を最小化し肯定的な面を保持して対処していくことが、今日のビジネスにも求められています。
コンフリクトを積極的に問題を解決させていくことで良好な関係を構築し、持続させようとする活動がコンフリクト・マネジメントです。
概要
コンフリクトを避け続けてしまうと、逆に感情的なコンフリクトとして表面化してしまったり、後々に大きくて複雑なコンフリクトとして顕在化したりします。しかし、コンフリクトの積極的な解消により、パフォーマンスの高いチームに活性化させ、ステークホルダーとの良好な関係を築き上げることができます。
説明
コンフリクトに正しく対処することで、意見の衝突や感情的な対立を恐れる必要はなくなり、メリットを見出すことができます。正しい対処を判断するためには、コンフリクトの種類について理解する必要があります。
人がコンフリクトに直面したときにとる態度は次の五つに分類されます。
- 競争 ―― 自己主張・非協力。パワーや権威で圧倒し、相手に自分の意見を強制する
- 受容 ―― 非自己主張・協力。自分の利益や要求より相手のそれを優先して解決する
- 妥協 ―― 双方が要求水準を下げて、自分の利益・主張の部分的な実現を目指す
- 回避 ―― 非自己主張・非協力。対立する状況そのものを回避し、解決を先送りする
- 協調 ―― 自己主張・協力。対立点を明確にしつつ、お互いの利益を尊重する建設的な議論で解決する
コンフリクト・マネジメントにおけるコンフリクトの解消とは、上記の五つのスタンスのうち、「協調」のアプローチをもって問題解決にあたることです。相手と争うのではなく、対立を安易に避けるのでもなく、対立点を明確にしつつ、お互いの利益を尊重する建設的な議論を通すことが大切です。
やってみよう
まずは、相手の意見を傾聴しましょう。相手と自分の意見のどこに相違があるのかを確認・理解することはお互いの利益を尊重する建設的な議論をする上で必要不可欠です。
相手がどのような思考プロセスでその意見に達しているのか傾聴を通して理解した上で、自分の意見を伝えるようにすることで、対立点が明確になります。
対立点が明確になった後は、対立箇所について掘り下げて議論したり、建設的な議論ができるようになるはずです。
出典
一般社団法人 PMI日本支部、2018、「タレント・トライアングル 破壊的イノベーション時代に求められるプロジェクト・マネジャーの実践スキル」、評言社
鈴木有香、2018、「人と組織を強くする交渉力 あらゆる紛争をWin-Winで解決するコンフリクト・マネジメント入門」、自由国民社
日本の人事部、2011年、「「ゼロ・サム」から「Win-Win」へ 衝突や対立を活用して組織を強くする方法」、https://jinjibu.jp/keyword/detl/430/
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